人生を俯瞰で見る訓練をしよう

「自分の能力以下のプランを立てていると、おそらく一生、不幸せな毎日を送ることになるだろう」アブラハム・マズロー(米心理学者)この局面を乗り切るためには、人生を俯瞰で見る訓練をひんぱんに行うべきだ。

一週間に一度はしてほしいのが、目標を常に思い出し、自分が何と戦って、何を手に入れたいのかを、確認すること。
たいていの人間は怠け者なので、目標をわざわざ思い返したりしなくなる。
しかし、成功したければ、これは絶対にしなければならない作業だ。
そうしないと、最終的にコンフォートゾーンに引き戻されてしまうからだ。

そのために、「思い出すためのスイッチ」を作ろう。
ベッドのそばに張り紙をする。
腕時計をいつもと逆の腕にはめる。
靴ひもの色を変えてもいい。

「挑んだ者が勝つ」

英国特殊部隊(SAS)は、「挑んだ者が勝つ」という私好みの信条をかかげている。
彼らは、毎日欠かさずこの信条を思い出す。
エンブレムに書かれているからだ。
数年前、コソボで第二二SAS連隊と仕事をしたときに、「毎日欠かさず信条を思い出す作業を何か月、何年も続けるうちに、それが身体の一部になり、生活の一部になる」と大佐が話していた。
それが、日々の小さな決断において、無意識に影響を与えているのだ。
また、訓練や任務において、もっとも大切なのは、部下の世話と任務の達成だ。
それが常に最優先であり、ゴールである。

この目標は、命令を発する前に必ず繰り返し唱えられる。
現時点でいい仕事ができていれば、それだけで十分なモチベーションになる。
しかし、もっと上を目指して頑張ろうという気持ちが、さらにやる気を押し上げてくれるのだ。
大切なのは、「少し上を目指す」意識を常に保つこと。
それが「正しい選択」につながる。
勝ち取りたいものを常に意識し、短期的目標と長期的目標を切り替えながら前進すれば、最後まで突き進むことができる。
続けるだけで勝手に実力は上がる人は、一年後の自分の達成度を過小評価し、一〇年後の達成度について過大評価しがちだ。
スポーツ選手でもビジネスマンでも同様である。
スポーツ選手は、一年以内に出したい結果を高望みしすぎる傾向がある。
しかし一年はあっという間だ。
ビジネスマンにとっても、一年はすぐに過ぎ去る。
この局面で重要なキーワードになるのが、忍耐である。

粘り強いことが、力になる。

特定の分野のスペシャリストになるには、あと一歩踏ん張る力が必要なのだ。
英国人ジャーナリストのマシュー・サイードは著書『非才!あなたの子どもを勝者にする成功の科学』のなかで、得意なことをやらせるチャンスを適切なタイミングで与えることの大切さを説いている。
その逆の例として挙げているのが、英国の政治だ。
英国では、大臣をひんぱんに別の省に配置換えする伝統がある。
国内でもっとも聡明で競争力のある人材が、特定の分野で必要とされる知識を十分に蓄える間もなく次の部署に異動させられるわけだ。
大臣がポストにとどまる期間は平均で一・七年。
トニー・ブレア首相時代に長期間閣僚を務めたジョン・レイドは、七年間で七つの省の大臣を歴任した。
サイードはこれを「まるで、タイガー・ウッズをゴルフからサッカーやアイスホッケーや野球に転向させて、すべての種目で最高の結果を出すのを期待するぐらい無意味なことだ」と述べている。

実際には、潜在能力を十分に引き出せるほど長い期間の忍耐ができない人が多い。
一〇年間何かの仕事に集中して取り組める人は、それだけで飛躍的な発展を経験するだろう。
たとえば、以前は困難で厄介だった仕事が、楽にできるようになる。
四日働いて「それなり」の結果を出せたことに、二日を費やすだけで「すばらしい」結果が得られるようになる。
少ない労力で、よい結果を出したり仕事を多く片付ける、といった効果を得るためには、長期間長期間の忍耐と集中力が求められるのだ。
五年間仕事に精を出せば、次の五年間は、多くの点で楽になる。
人脈を築き上げ、必要な知識を身につけているからだ。
同様のことは、博士論文を執筆中の人や、会社を立ち上げる人にも言える。
時間を積み重ねた結果、物事の関連性が見え、さらなる仕事がよりシンプルで楽しくなる相乗効果が期待できる。
私が経営学の勉強をしていたとき、最後の一年は、最初の一年よりもはるかに実りが多く楽しいものだった。
大富豪の多くは、五〇歳を過ぎてから富を築いている。
プロのスポーツ選手は、キャリアの最後の数年に、それまでの努力の結実のすべてを収穫することになるだろう。
そこでようやく、忍耐が報われることになる。
ほかの大勢は、途中で挫折するからだ。
ライバルたちは失速し、あなたが唯一無二の存在として残される。
長期的な視点を持ち、報酬を待てることは、人生のあらゆる分野で大きな価値を持つのだ。

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